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月刊☆臥看牽牛織女星

15年の空白を経て宝塚観劇を再開。失われた時を取り戻すためのスカイステージ鑑賞記録をぼちぼちと綴ります。

何も語らず包み込む「Icarus」

雪

このところ、スカステでは
演出家のデビュー作品を特集してくれている。

知らない演出家さんだらけとなった出戻りの身としては
大変ありがたい企画です。

 

景子先生デビュー作
「Icarus―追憶の薔薇を求めて―」 

とうこちゃん(安蘭けい)はどことなく星の王子さまを思わせる白い役柄。
1幕はエピソードがとりとめもなく紡がれていて
話がつながっているような、つながらないような。
タイトルがバウ・ポエジーというだけあって
詩がポツポツと語られるような構成。 

もともと詩はあまり好きなたちではないし
この年令になると、こんなポエムなお話はちょっとなぁ~。
なんて思ってたら
2幕で話の構造が見えてくると
俄然面白くなってきました。

 

筆を折った新進小説家のかしげ(貴城けい)が過去で、
その後の姿がこの舞台の語り手であり小説家でもあるケロさん(汐美真帆)。
なんだけれど
本当の自分の過去のことが描かれているわけではなく
ケロさんの書く小説の中のフィクションのようでもある。

 

とうこちゃんは飛行機で行方不明になったパイロット。
この小説の世界に現れた彼の魂のようでもあるけど
そうではなくて、
逆にそのパイロットが死の瞬間に見た夢が描かれていたのだ
というようでもある。

と、かなりファジーな内容。全然あらすじの説明になってないな~。

 

寄る年波に勝てず脳みその動きも悪くなっているから
こんなに話がファジーだと
観終わった後、どんな話だったかな~ってなってしまうのですが

とにかく
ラストシーンが温かく美しいので
もうそれだけで、なんだか良い物を見たわ~って気になる。

 

とにかくケロさんよ。
ひたすらケロさんの包容力に癒される。

階段に腰掛けただんちゃん(檀れい)をそっと後ろから包み込む温かさ。大きさ。
言葉はないけれど、この芝居全体を優しく包み込んでくれる。
もうそれだけでいいです。
説明も何もいらない。何も語る必要はないわ。

こういう行間が感じられる舞台って少ないものね。
最近語られすぎる脚本が多くなっている気がするわ。

しかし、デビュー作にこうゆう作品をぶつけてくるとは
景子先生、実はすごい野心家なのかもしれない。