月刊☆臥看牽牛織女星

15年の空白を経て宝塚観劇を再開。失われた時を取り戻すためのスカイステージ鑑賞記録をぼちぼちと綴ります。

「暁のロンバルディア」と「夜明けの天使たち」1

星

初めて観た正塚作品は
第3作目の「アンダーライン」

この先どんなにたくさんの宝塚の舞台を観たとしても
おそらく好きな作品マイベスト10の中に入ってくるだろう
「バロンの末裔」を作った先生です。
デビュー作は今回初めて観ました。

 

ロンバルディア

ルイ12世の時代のノヴァーラの戦いあたりを描いているので、ガッツリ中世。
イギリスならヘンリー8世のころ。
もしかしてコスチュームプレイはこれ1作でしょうか?
しかも音楽が高橋城先生ではないから、
なんとなく正塚先生のような気がしないわ~なんて思って観始めていたけど
まさえちゃん(秋篠美帆)は「うん」って返事するし、
ロマ(ジプシー)の人々は流離いながら歌うし。
ロマンスの過程よりも
どう生きるかとういう過程、人としての矜持が描かれていて
第一作目から正塚先生はちゃんと正塚先生だった。

正塚作品の美はビジュアルよりも心の中にあると思う。
(セットはシンプルだし、衣装はイマイチなことも多々あり)
まだ見つけられないけれど、どこかにきっと美しい何かがあると、
観終わった後に不思議と心に小さな希望の光が灯る。

だから正塚作品は「暁」なのだ。
まだ夜は明けてないけれど、この世界に太陽はあるのだと信じることができる。

 

私が宝塚を観ていない間にデビューして、
そして去っていってしまった演出家、荻田浩一先生。
なので実際の舞台は一度も観ていなくてテレビ鑑賞のみではありますが
この先どんなにたくさんの宝塚の舞台を観たとしても
おそらく好きな作品マイベスト10の中に入ってくるだろう
マラケシュ-虹の墓標-」を作った先生です。

 

夜明けの天使たち」

繰り返し歌われる主題歌は高橋城先生の作品集のCDに収録されていて
なんの根拠もなく正塚先生の芝居の曲だと思い込んでいたので
この曲が流れてきた時にはびっくりした。
高橋城先生の音楽に正塚作品同様のストイックで寡黙な主人公。
ところがだんだん、どんどん痛々しくなっていく。
わりとマジにウェスタンでハードボイルド風ではあっても、
正塚作品とはまるで違い
第一作目から荻田先生はちゃんと荻田先生だった。

今まで映像で観た「パッサージュ」「マラケシュ」からイメージして
荻田作品は夜明けというより「黄昏」「大禍時(逢魔が刻)」だと思っていました。
そうそう「タキシード・ジャズ」などは
副題に「黄昏のニューヨーク」とでもつけたほうがいいんじゃないかと思うほど
夕暮れ感満載だった。
あれ、小粋でおしゃれなジャズショーをイメージして観に行ったら
観終わった後、寂しくて~。悲しくなっちゃうんじゃないかしら?
とはいえ、荻田作品のビジュアルはとても美しい。
でもその美しさには触れてはならない毒が塗られているようで
観終わった後、心がヒリヒリしてくる。

もし美しい「夜明け」であっても、まだ心に光が感じられないのだとしたら
そのほうが黄昏よりも切ないかもしれない。 

 

異色だと言われ、なんのかんのあっても宝塚に残った正塚先生。
美しい花を咲かせながら、あっという間に宝塚を去っていった荻田先生。

どちらもそれぞれに素敵な作品を生み出す大好きな演出家さんです。