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月刊☆臥看牽牛織女星

15年の空白を経て宝塚観劇を再開。失われた時を取り戻すためのスカイステージ鑑賞記録をぼちぼちと綴ります。

バウ・シェイクスピア特集・雑感

専

 

シェイクスピア作品を元ネタにした作品のCS放送を
ぼちぼちと見続けています。

 

そんなにシェイクスピア作品に詳しいわけではないのですが
各演出家のアレンジ具合がいろいろで興味深いわ~。

 

作品名/元ネタ/演出家/組/主演

「SAY IT AGAIN」/ヴェローナの2紳士/正塚晴彦/雪/成瀬こうき・朝海ひかる

現代を舞台に、登場人物を結婚詐欺師にして
恋のやりとりや裏切りを犯罪がらみの虚々実々の駆け引きに置き換えている。

しかし、これを見て元ネタがシェイクスピアだってわかる人、どれくらいいるのだろう?
私なんぞは元の作品を知らなかったので、正塚先生オリジナル作品だと思えてしまうわ。
それくらいちゃんと正塚ワールド。

劇作家というものは、元ネタとか、何かヒントとなるものから
こうして話を広げて自分のものにしていくものなのね~。
最初から最後までワクワクしながら鑑賞。

 

冬物語」/冬物語/児玉明子/花/春野寿美礼

時代設定は江戸時代。
親友と妻が通じているという疑念に突如としてとらわれる
という訳の分からない元設定を
演技と現実の境があいまいな歌舞伎役者にしたことで説得力を持たせている。
後半はおささん(春野寿美礼)が二役。しかも花魁というびっくりな配役。
まぁ、この時点ではトップではなく、初主演の若手だったわけだけれど
その後のおささんを知っているから度肝を抜かれたわ。
話の詰めはなんだかしりつぼみというか、
この辺りがオリジナルを創出する力が足りないのかも。
もうあと一息盛り上げることができたら
なかなかおもしろい作品だと言えるのに。

 

「夢・シェイクスピア」/夏の夜の夢/中村暁/星/絵麻緒ゆう

夏の夜の夢を上演する現代の市民劇団、ということで
びっくりするくらい、まったく工夫なし。
幕開きのダンスも台詞も何から何までぜーんぶサトル臭。
サトル先生の話を深刻に生真面目に演じるぶんちゃん(絵麻緒ゆう)。
気の毒だわ。

唯一の救いはオト子(音羽涼)の気のいいあんちゃん。
気のいいあんちゃんがその雰囲気のままパックを演じているのが面白い。
サトル先生の作品は演出ぶっ壊すくらいの気持ちで演じないと
なにひと~つ面白くならない。

いい例が「グッバイ・ペパーミント・ナイト」
ヤンミキが自由に演じて大好評のこの作品。
何年か後にそのまま「ワン・モア・タイム」と題名を変えて
おっちょん(成瀬こうき)とタニ(大和悠河)で再演。
「グッパイ・ぺバーミントナイト!partⅡ」なんて副題がついているけど
ほぼそのまま再演。
一生懸命演じる二人。だけど、ま~、ひとつも面白くないのは、
コメディエンヌとしての資質の差もあるかもしれないけれど
きっとサトル先生の演出に真面目に従ったからに違いないと思う。

 

「から騒ぎ」/から騒ぎ/藤井大介/月/初風緑

現代のロックミュージシャンに置き換え。
言い争いはシェイクスピアらしく韻をふむ台詞の応酬なのがとっても面白い。
しかも演じるのが口跡のいいガイチ(初風緑)やきりやん(霧矢大夢
聞いていてとても気持ちがいい。
そして、シェイクスピアの喜劇を演じさせたら
彼女の右に出る者はないのではないかと思われるるんぱ(真山葉瑠)!!!
うまい!うまい!うますぎる!
でも藤井先生は時々サトル臭がすることがある。なんで?

 

ロミオとジュリエット'99」/ロミオとジュリエット/植田景子/花/水夏希

台詞のやりとりは古典風、でもファッションはスタイリッシュ。
時代設定はちょっと不明。

ただミュージカルのロミジュリを観てしまった後に、
こういう古典のセリフ劇を観る根気がこちらになくなってしまったわ~。

それから幕開きの天使の演出がどうも苦手だ。
「愛と革命の詩」の白天使と黒天使は素敵だったのだけれど
どうしてこの天使は苦手なのだろう?
たぶん、白天使だけだと、なんだか偽善を感じてしまって好きじゃないのだわ。

 

エピファニー」/十二夜/大野拓史/星/彩輝直

時代は明治の日本。
テーマは女優誕生?
シェイクスピアのころも女優はいなかったのよね。確か。
よく出来てるわ~。

ラストの展開がもっとスピーディーだったら、本当にいい作品といえるのに。残念。
兄妹が再会して大団円のあと
残っていたオリヴィアに当たる鞠さんとセバスチャンに当たる高五郎との
ハッピーエンドになかなかたどり着かない。
というか、それまでの伏線がほとんどないので、
改めてこの二人をくっつける話を始めなきゃいけなくなってしまい
展開がノロノロで、しかも取ってつけたようになってしまった。

 

「TEMPEST-吹き抜ける九龍-」/テンペスト/齋藤吉正/宙/湖月わたる

舞台は戦後まもない香港。
クーロンという呼び方は実は読み間違いで
日本語読みなら「キュウリュウ」、広東読みなら「ガウロン」が正しいのかな?
でもクーロンというのは少し昔の香港映画の日本語訳でよく使われた読み方。
そんなちょっとレトロな香港ノアールを思い起こさせる設定。
登場人物の造形もそれぞれ全て面白くて引き込まれた。

エアリエルのひな(朝比奈慶)は
花組時代タモちゃん(愛華みれ)のバウ「HURRICANE」のヒロインを演じた人だよね。
なんであの時娘役で抜擢されたのだろう?
あの時はちょっとアクが強すぎてあまり好きになれなかったのだけれど
このテンペストの妖精?
はまり役だわ。
歌も芝居も実力派だったのね。