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月刊☆臥看牽牛織女星

15年の空白を経て宝塚観劇を再開。失われた時を取り戻すためのスカイステージ鑑賞記録をぼちぼちと綴ります。

世界史覚書「SANCTUARY」2

宙

 

バウ・ゴシック「SANCTUARY」
がっつり中世のお話。

 

同時代
イギリス(イングランド)はエリザベス1世。
日本は織田信長あたりでしょうか。

この時代辺りの西洋史が
割と好きなので
随分色々な小説やら歴史本やら
読んだはずなんだけどね~。 

佐藤賢一藤本ひとみ塩野七生
小西章子の「華麗なる二人の女王の闘い」とか大好きだし
小説じゃないけれど阿部謹也の本も面白い。
でもすぐ忘れちゃうんだな~。

なので
ここで、忘れないよう世界史覚書。

 

当時のフランスは
お城は暗い要塞だし、
武器の短刀で肉を切って手づかみで食べるような
戦争に明け暮れる、まだまだ野蛮な国。

そこにルネッサンスの華
イタリア、フィレンツェの富と権力を握るメディチ家から
莫大な持参金とともにお輿入れしたのが
せーこ(純矢ちとせ)演じる
カトリーヌ・ド・メディシス

彼女がフランスに来たことで、
テーブルマナーとか
目にも鮮やかな料理やお菓子とか
その他、様々なイタリアの華やかな文化が
フランスにもたらされたらしい。

彼女の子どものうち
3人の息子がフランス王となります。

 

フランソワ2世は
有名なスコットランドメアリー・スチュアートの旦那さん。
因みにメアリー・スチュアート
りんきら(凛城きら)演じるギーズ公とは従姉妹になります。
ギーズ家はこの若き王を意のままに操っていたわけ。
しかし、すでに若くして死去のため、この芝居では描かれず。

 

その後、10歳で王位を継いだのが
あきも(秋音光)が演じたシャルル9世。
カトリーヌ・ド・メディシス摂政となり
カトリックのギーズ家と
プロテスタントブルボン家を互いに争わせることで
彼らの勢力を削ぎ、ヴァロア王家の安泰を図るわけです。
神経の細い王はサン・バルテルミの虐殺を命じたことで寿命を縮め
その2年後に24歳の若さで死去。

 

続いての王は、
かなこ(春瀬央季)が演じたアンジュー公ことアンリ3世。
この芝居ではギーズがアンリ3世を殺すけれども
実際は逆でアンリ3世がギーズを暗殺したらしい。
で、アンリ3世は復讐を誓ったギーズ派の男に短刀で刺されて死んでしまうのだ。
ここまでがカトリックの人々。

 

アンリ3世に跡継ぎがいないために王位は
プロテスタントのあいちゃん(愛月ひかる)演じるアンリ4世のもとに。
これが、宝塚ファンお馴染みのブルボン王朝のはじまり。 

アンリ4世はカトリックに改宗するものの
ナントの勅令プロテスタントに権利を与え
ヨーロッパでは初めて個人の信仰の自由を認めた賢王なのだ。

この芝居では
お小姓オルトンまりなちゃん(七生眞希)を救うため
カトリックに改宗すると描かれているのだが
お小姓一人救えぬものは民も救えぬ!
それが、いつの日か
多くのプロテスタントを救う!
と思ってのことなのかも~。

もちろん史実通りというわけではないでしょうが
上手に嘘をついてくれれば
史実に忠実に描くよりも、そのほうがずっとドラマチック。

あ、でもね。
シャルル9世が
まっぷー(松風輝)演じるコリニー提督を殺してしまう時に使う
あのおしゃれなピストルはイカンよ。

弾込めて~
火つけて~
が、この時代の銃じゃないかな?
もう火打ち石式の銃はできていたのかな?
にしたって
いくらなんでも、あんな近世的な小銃で
あれこれあった末に、いきなりバンッ!!なんて
そりゃぁ、まだまだ無理だわ。

 

たとえば
次の月組作品は
同時代の織田信長を描いても
ロック・ミュージカルで
衣装も現代的でスタイリッシュだから
たまきち(珠城りょう)がおしゃれなアンティーク銃をぶっ放しても
むしろカッコいいけれど。
(史実通りの火縄銃じゃぁ、かえって萎えるもん。)

この「SANCTUARY」では
天から降り注ぐような素晴らしい音楽(斉藤恒芳先生)と
切り裂くような背景が印象的な装置(大橋泰弘先生)によって
緻密に積み上げられていったおどろおどろしい中世のムードが
あの近世的なアンティーク銃ひとつで
一瞬にしておじゃんになっちゃう。
これは、もったいないな。

コリニー提督は銃撃を受けた史実があるとはいえ
(犯人はシャルル9世ではないけど)
凶器は銃でなくてもいいような気がします。
短剣とかね。
そのほうがシャルル9世の狂気が
より生きてくると思う。

 

衣装は
人によると
あいちゃんが黒で
悪役?ギーズ公のりんきらが白なのが
わかりにくいっていう意見もあるようなんだけれど
そんなに単純な図式化で色分け出来る話じゃないと思うの。

当時のカトリックから見れば
プロテスタントは邪教。
あいちゃんだって
母の死の真相や妻マルゴに対する不信やらで
心の中揺れ動いて
決して単純な白王子じゃぁない。 

そりゃぁ
サン・バルテルミの虐殺はイカンけれども
どっちが悪でどっちが正義と
言いきれないのが
宗教戦争
なんだよな~。

どっちも神様なんだから
いいじゃん。
と、いうわけにはいかないのね。
私にはどうも、わからんわ~。

 

まぁ、
もちろん
純粋に宗教だけを争っているわけじゃなくて
誰が権力を握るかで
周りの国々の思惑をも巻き込んでの
血で血を洗う時代だったのだろうけれど。

 

しかし前置き長すぎだ~。
そんなわけで感想はまたしても次回に。