月刊☆臥看牽牛織女星

15年の空白を経て宝塚観劇を再開。失われた時を取り戻すためのスカイステージ鑑賞記録をぼちぼちと綴ります。

クールビズなのかと思ったけど…「新源氏物語」

花

 

劇場でも、もちろん観ているのですが
ちょっと確認したいことがあってCS放送も視聴。


というのも
劇場で見てて
衣装が、あれ~~~???なんで~~~~????
と思ったところが、いくつかあったのだ。
いや
宝塚だもん
大河ドラマじゃないんだから
正確な時代考証なんて必要ないと思うよ。
華やかさ第一!!


でもね
日本物作品だとどうしても
衣装で時代や身分や場所を把握することが多いので
さすがにちょっと気になるところが
今回多かった。


気になったこと1


狩衣、なんだか多くない?


平安時代の男性の服装
狩衣

今の時代で言えば
ジャケットって感じかな。
時代が鎌倉、室町と下れば、
しだいにフォーマルウェアになっていくけれど
少なくとも平安時代においては
主に外歩きのときに着るカジュアルウェア。


だからこの芝居で狩衣を着ていいのは
北山に出かけて若紫を垣間見るところと
須磨に頭の中将が尋ねてくるところくらいかな~。
(大野作品の「夢の浮橋」は
郊外の宇治にお出かけする話なので全編ほぼ狩衣でOKね。)


ところが今回
豪華なオープニング(おそらく宮中という設定)で
他の男役はみんな格のある衣装なのに
光源氏ひとり狩衣なんだよね。

なぜに光源氏ひとりカジュアル???
ノーネクタイでクールビズなのか???


その後
雨夜の品定めでも
自分と藤壺の子に対面するときも
朧月夜との逢瀬も
全部、狩衣で登場。


これらの場面は
オフタイムといえどもすべて御所の中なので
今の時代で言うとスーツにあたる
直衣でなければならない。
なのに他の貴族もみ~んな狩衣。

私はうたこさん(剣幸)の新源氏物語しか観ていないけれど
みんな直衣を着ていたはずです。もうあの衣装は使えないのかなぁ。


で、今回
ゆっくり放送を見て確認したら
みりおちゃんの衣装は
前半はほとんど狩衣だけど(六条御息所に逢う時だけなぜか直衣)
許されて都に戻った以降は
全部、直衣を着ていた。


つまり
若い時は狩衣
(年上の気の張る恋人に逢う時は背伸びして直衣?)
中年期は直衣
としているのだ。


なるほど~~~。
なんとなく理由がわかりましたわ。


美しくって、いつまでも少年のような
みりおちゃん(明日海りお)の光源氏
年齢と時間の経過を表現するために
衣装を区切ったのね。きっと。


若い時…カジュアル
身分が高くなったら…フォーマル
そういうことか。


確かに直衣はもったりしてて
若々しさに欠ける雰囲気ではあるものね。
それに狩衣より衣装代がかかりそう。
クールビズよりむしろ経費節減ってことか。

まぁ
仕方ないかな。これは。

 

 

気になったこと2


若紫の場面に出てくる子供達が
ぜんぜん平安時代に見えない。


特にあの文庫結びの帯はありえないわ~~~~
おはしょりの感じもすごく江戸以降っぽい。
別に私
その時代の服装に詳しいわけじゃないけれど
それでも
ぱっと舞台を観た印象が
とたんに平安時代じゃなくなっちゃって興ざめ。
男の子の袴姿も武士っぽいし。
せめて裾を絞ってほしかったなぁ~。


端役の衣装に必要以上に凝ることもできないだろうけど
日本物の子供の衣装が
どんな時代設定であってもいつも
つんつるてんの着物に文庫結びになるのは勘弁して欲しい。

 


気になったこと3

 

ラストの藤壺の衣装。


小袖に細帯で
打掛けを一枚羽織ったきり。
なんだか安土桃山時代とかの奥方の雰囲気。お市の方とか。淀君とか。
藤壺の宮なのに…
ここは緋袴に小袿にして欲しかった。


演出の大野先生は勉強熱心で博識な方と聞いているけど
どうもその興味の対象は
平安後期以降の市井の
なかでも日の当たらない人々のような気がする。
大野作品にはたびたび傀儡子が出て来るしね~。


平安時代ど真ん中の貴族とか
あんまり興味ないんだろうな~。
なんとなく全体的な衣装の感じや画面づくりが
すくなくとも平安末期以降な感じ。

 

大階段いっぱいの緋毛氈のオープニングは素晴らしかった。
でも、だんだんと話が進むに連れ
平安の雅というより
末世的なおどろおどろしさや寂寥感が、ほの見えてくる感じ。
源氏物語の時代はまだ末世ではないのだが・・・)

 

確かに六条御息所は生霊になるし
物語のラストはやりきれない。
けれどそれが平安の最も華やかな時代の中で描かれるから
かえって哀れさ悲しさが浮き上がるわけで。
今回のように末世の雰囲気の中で描かれたのでは
なんか直接的過ぎるというか…
でも、それが「大野先生好み」
っていうことなのかしら。

 

まぁ、今時、
源氏物語の内容知ってる観客なんて少ないもの。
仕方ないか。