月刊☆臥看牽牛織女星

15年の空白を経て宝塚観劇を再開。失われた時を取り戻すためのスカイステージ鑑賞記録をぼちぼちと綴ります。

本日「CAPTAIN NEMO-ネモ船長と神秘の島-」観劇1

雪

昨日は東宝、今日は青年館です。こんな風に日程が上手く合って連続観劇出来ることはめったにないのでうれしいわ~。

ジュール・ヴェルヌといえば子供の頃「十五少年漂流記」が大好きで。そう言えば私の初恋の人はこの小説に出てくる少年でしたっけ。え~~っと名前思い出せないのですが。だめね。なんでも忘れちゃう。たしか「海底二万哩」も読んだはずなんだけど、実はこちらも全く思い出せない。まっいいか。

十五少年じゃないけれどキャプテン・ネモを筆頭にイケメン男子各種取り揃え、血湧き肉躍るレトロな海洋冒険ロマンって感じになるのかしら?ワクワクしながら席につく。


う~~~ん。ちょっと微妙な作品でした。
ジュール・ヴェルヌの小説らしい知的で好奇心に溢れた役どころはみつる(華形ひかる)なのだけれど、それを充分に表現できるほどの出番はなかった。
巻き込まれた博士がストーリテラーとしてノーチラス号の冒険の一部始終を語るアドベンチャーロマンみたいな話を期待していたのだけどなぁ。
芝居は芝居。原作通りにする必要なんて全然ないと思うけれど予想外のバッドエンディングにビックリした。

ただ、谷正純先生の想い(というか恐れ。なのかな?)は少々感ずるところがある。
このことについてはまだ気持ちがまとまらないので次回にでも。


まぁね。作劇は好みじゃなかったけれど、谷先生の生徒を成長させる手腕についてはそこそこの信頼はあると思ってます。

今回、咲ちゃん(彩風咲奈)に動かない役を演じさせたのも、何かの意図があってのことであろう。と考えたい。
真ん中力とかカリスマ性とか。
何も言わずとも人を引きつける求心力とか?

セリフではなくダンスで心情を表現っていうのは嫌いじゃないんだけど、脚本・演出もろもろがどうもしっくりこなくて。
これで真ん中力を見せろと言われても~~。なかなかに難しかったのではないかと思う。
しかし、この試練を乗り越えることで、またひとまわり大きくなって行くのだ。がんばれ咲ちゃん!


雪組初お目見えのあーさ(朝美絢)は沈着冷静なイギリス海軍将校。
月組ではイケメン枠であまりその演技力に言及されることがなかったように思えるのだけれど上手いわ~。
少ない出番、セリフも多くないのだけれど、背後に隠れた信念とか迷いとか、複雑な感情が透けて見えてくる。
だいもん(望海風斗)と芝居でガッツリ対抗できる人かもしれない。

雪組には男役にしては華奢で小柄というハンディを逆に個性としたちぎちゃん(早霧せいな)という先例もあるので今後のさらなるステップアップに期待!すごく楽しみにになってきた!


若手男役演じる乗組員達の中では、あみくん(彩海せら)のみ自分の境遇を語るシーンがあり印象的でした。
これは最下級生ということで役作りしやすいようにと配慮されたのではないかと思います。

他の乗組員はそういうセリフに頼らずに、その人物の背景とか性格とかを表現することが課題としてあたえられたのではないかしら。
なかなか難しいことだけれどみんなそれぞれに頑張っていました。


眞ノ宮るい君は通信士ということで伝令セリフが何度もある。
口跡が明瞭。
モールス信号を島民に教えるというお仕事もあるようで、最後にその教えた信号を使って島民がメッセージを発する場面でみせる表情がとてもいい。
素直な演技。
真っ直ぐに成長中!


るい君のダンスを見よう!と思っていたオープニングのダンス。
にもかかわらず野性味と色気に溢れるあきちゃん(叶ゆうり)の眼力にうっかり釘付けになってしまった。

本編の役どころはインドの王女付きの兵士なのかな?王女を傷つけるものは許さない!と、ぎょろりとした目で常に身近に控えている。無口でいかついけど心は優しい大男。
特にエピソードはないんだけれど、セリフもないんだけど、目の動きでしっかり伝わる。
もうちょっと活躍させてほしかったなぁ。


インドの王女役は「NEW WAVE」のCS放送を見て素敵だなと思ったかのちゃん(潤花)。
温かみのある柔らかさ、大人びた色気、素直な可愛らしさ、いろんな魅力を兼ね備えた娘役さんだわ。将来が楽しみ!

フィナーレの3組のデュエットダンスにも抜擢されていて嬉しかった。
あーさとペアを組み背中の美しいダンスをじっくり観ることができた。フィナーレの振付は御織ゆみ乃先生かな?素敵でした。

実は芝居中にもあーさとかのちゃんが一緒に踊る場面があるのだけれど、芝居での振付は…おそらく尚すみれ先生と思われ。
ここの振付けがねぇ。なんつーか。。。。

葛藤を表現する重要なダンスシーンなのに、そういうニュアンスがあまり感じられない。
せっかく二人共ダンスが美しいのに。
ダンスで心の中を表現できる力もあると思うのに。
ううぅぅ、もったいなかった。

すみれ先生、現役時代は雪組を代表するダンサーだったんだけどなぁ。
こういう心情シーンの振付けには向いてないんじゃないかなぁ。


作曲は谷先生と必ず組む吉崎憲治先生。
私、吉崎先生の音楽大好きなのです。
日本物の舞踊詩とかで吉崎先生の美しいメロディーがめくるめくように展開(変化)していくとホント胸がドキドキするもん。
だから幕間の客席から「音楽が昭和~~~」なんて会話が聞こえてくると、ちょっと悲しい。

今回だって、曲自体はけっして悪くはないと思うの。
もしこれが大人の抑えた心情を描いた悲恋物語なんかで、ここぞ!っていうシーンで流れてきたら、きっと号泣してしまうだろう。

要は組合せなんだと思う。
このベタなストーリーに吉崎先生のメランコリックな曲をあわせてしまってはベタベタが過ぎちゃうんじゃないかなぁ。


衣装も島民が多国籍であることを表現するためなのでしょう、全員民族衣装にしていたけれど、そのために19世紀後半という時代感が失せてしまい、レトロなSFというこの物語ならではの面白みがぼやけてしまったのがとっても残念。

装置もマトカ島の一面花畑のほうが色んな意味で印象的で、肝心のノーチラス号のセットがあんまり思い出せない。
ゼンマイや歯車をいっぱいあしらったタイトルロゴはレトロ感満載で素敵だったのに~~~。

もっとも谷先生が描きたいのはそういうレトロなSFの世界ではなくって、大国によって虐げられる民族の悲劇ほうなのだわね。


たわいもない話だって脚本・音楽・振付・衣装・装置の組合せがピタッと決まればとっても素敵な舞台になることだってあるのだけれどなぁ。
脚本がアレでも、この辺の組合せがもうちっと上手く行きさえすれば、もう少し良くなったんじゃないかと…。
まぁそこが谷先生のセンス。なんだろうなぁ~~。