月刊☆臥看牽牛織女星

15年の空白を経て宝塚観劇を再開。失われた時を取り戻すためのスカイステージ鑑賞記録をぼちぼちと綴ります。

歴史の狭間の小さなきらめき「NOBUNAGA<信長> -下天の夢-」


月

明智光秀の直筆の手紙も発見されたことだし、楽しみにしてたのに結局観に行けなかった「NOBUNAGA」をCS鑑賞。


毎年なんとなく大河ドラマを見ている割には日本史がさっぱり覚えられないのですが、もしかしたら知らないからこそ楽しかったのかしらん?
戦国時代でロックミュージカルというのもぶっ飛んでるし、トップスターのサヨナラ公演としてはちょっと珍しいピカレスク・ロマンというのも面白い趣向でした。
あのリベット打ちまくった鉄製(にみえる)の象の造形もハードで好き。もうちょっと活躍してほしかったけど。


しかも、まさお(龍真咲)の悪党ぶり、ちょっとエグくてむしろ素敵だ。
こんなアクの強い役ができるトップさんというのも滅多にいないかも。
唯一無二の個性だと思う。
まぁ、ハマる人と苦手な人が別れるだろうけど。
私はダメ男ももちろんですが悪党・悪役も大好きなので全然OKだった。

信長のあまりのエグさゆえ、後半は色んな人が裏切ったり、あらら、結局味方になったり?と、歴史に疎い私にはどうもストーリーがよくわかんなかったけど、それも込みで予定調和に流れない信長の破天荒感!というかむちゃぶりの塊というか、そんな感じが作品全体から感じられて、なんだかわかんないなりにぶっ飛び感を楽しめました。

まぁストーリーとしたら破綻してると言えるのかもしれません。
でも演劇とか美術とか文学などの芸術分野って数学などとは違うので、破綻や矛盾があったら即不可!とは言い切れないと思うの。
どこまでそれを許せるかは、人それぞれ許容範囲は違うでしょうが。


その他の印象に残った人達は
たまきち(珠城りょう)の無精髭がうっすらとむさ苦しい謎の男ロルテス。
健康的なイメージのあるたまきちですが、どこか後ろ暗いところがある病んだような翳りが色っぽくてドキドキしました。これは架空の人物?

一緒に芝居をした、からん(千海華蘭)は希望に満ちて屈託なくて、だけど最後にはちゃんとその翳りを感じとることのできるイエズス会の宣教師。
これがとても可愛くって上手くって~。この二人のキャラと演技が互いに反応しあって、たまきちの役にさらに深い陰影を与えたのだと思います。


非業の死を遂げる信長の弟を演じた、れんこんさん(蓮つかさ)が短い出番ながら強い印象が残った。
まさお信長のエグさと真反対のスッキリと知的な若侍ぶりが美しく、兄に殺されてしまう無念が際立っていました。
この人が織田家を継いでいたら歴史はどんな風になったんだろうね。


奴隷出身の黒人侍、弥助を演じた、たかすみ(貴澄隼人)も眼光鋭く素晴らしかったなぁ。
実在の人物とのこと。戦国時代にこういう人物がいたことも初めて知りました。すごい数奇な人生だよね。


王道の戦国ストーリーを楽しむというより、こういう歴史の狭間に埋もれた人々のきらめきが、その演技力の高さも含めてなかなか面白かったです。