月刊☆臥看牽牛織女星

15年の空白を経て宝塚観劇を再開。失われた時を取り戻すためのスカイステージ鑑賞記録をぼちぼちと綴ります。

本日「神々の土地-ロマノフたちの黄昏-」観劇1

宙

宝塚ファンあるあるでヨーロッパの王家を描いた小説や歴史本、特にフランス王家やハプスブルグ家に関するものはずいぶん読んだものの、そういえばロマノフ朝についてはロシア革命で滅びたというくらいしか知りません。確か今年は革命100周年なんだよね。

なにぶんロシア人の名前ってややこしいので、予備知識もなしに話についていけるかどうか不安でしたが、そこはさすがに上田久美子先生、言葉の選択に不備は ありません。それぞれの役名や立場が自然に把握できるようにセリフが練り上げられておりました。こんどこのあたりを描いた本を探して読んでみようかな。

もちろん史実通りではなくって創作された部分が多いのでしょうけど、静かに深く降り積もる雪に閉ざされていくように閉塞感漂うロマノフ朝の最後の日々。

宝塚ならではの近衛隊のダンスやジプシーダンスも織り込まれてはおりますが、もしそれらがないとしてもたぶん芝居は成り立つ。
どちらかと言えばストレートプレイに近いかもしれません。
全体を通して静かに胸にしみるとても良い舞台でした。
やっぱり筆力に関していえば上田先生はものすごく優れているのだなぁ。


そして、ありとあらゆる恋愛が描かれる宝塚においても、これは最も私が好きな愛の形ではないですかっ!

抑制する愛
好きなんです。(なので正塚先生の芝居も好き)

例えば病気とか、実は兄妹だった!とか。記憶喪失だとか、どこぞの海外ドラマじゃないけれど外的要因のために結ばれないっていうのは、ドラマチックではあるけれどあんまりぴんとこないの。(な~んて言って「哀しみのコルドバ」大好きなのだけれど。)

その愛をさえぎる外的要因は何一つないのに、心の中にある誇り故に愛し合うことを自ら禁じる愛。
これが一番胸にグッとくるのだわ~~~。

義理の伯母と甥とはいえ、ゆうり(伶美うらら)演じる未亡人となった大公妃イリナとまあくん(朝夏まなと)演じるドミトリーは恋人同士であっても何ら不都合はないはずなんだよね。
現に友人のゆりか(真風涼帆)もせーこ(純矢ちとせ)も二人の心の中を知っているわけで。(せーこに至っては、ゆりかフェリックスのまあくんドミトリーに対する片恋まで理解している。いやもう相変わらずせーこが上手い!)

けれども誰もがけっして情熱に任せて恋の深みに嵌っていくことをしない。
高潔な理想と理性ゆえに、互いの想いを自制してそれぞれの道を歩むわけです。

クーデター失敗、死が確定のペルシャ戦線への派遣という永遠の別れが目の前にきて初めて、愛する人に最後に逢うために衝動的に列車から飛び降りたと言うまあくんドミトリー。
抑制に抑制を重ねた上、その一瞬だけ、たがが外れるところが胸を打ちます。

でも、情熱に任せるのはここまで。
共にアメリカ亡命を勧めるゆりかフェリックスの申し出をことわり、滅びゆく道とわかっていながら己の誇りゆえに再び自己を抑制する。
滅びゆく先をも真っ直ぐに見つめるまあくんの瞳とゆうりの誇り高く美しい佇まいが心を打ちます。

危険な外地に赴任したほうが結果的に革命を逃れて生き残ってしまったという皮肉な結末も含め、観てて発散することは出来ないので、このあたりの抑制した心情に共感できるか出来ないかで好き嫌いがわかれる芝居かもしれません。

もちろん私は大好きです!!