月刊☆臥看牽牛織女星

15年の空白を経て宝塚観劇を再開。失われた時を取り戻すためのスカイステージ鑑賞記録をぼちぼちと綴ります。

革命に生き革命に死んだ人々「ひかりふる路」DVD鑑賞3

雪

世界史の授業で覚えましたよね。
マラー、ダントン、ロベスピエール
今回はシャルロット・コルデーがらみのエピソードを入れるわけにはいかないのでマラーはお休み。ダヴィッドが描く「マラーの死」の絵はとてもドラマチックではあるけれど、キャラ的にあんまり好きではないので出てこなくても無問題で~す。


さきな(彩風咲奈)のダントン。
喧嘩っ早くて大声で。金にも女にも弱い。
頼まれれば嫌とは言えない親分肌のせいか賄賂も二股も拒まず。
ダントンの屋敷のシーン。
豪華な調度、素晴らしいごちそう。執事までいたもんね。
生涯下宿住まいのロベスピエールとは大違い。
汚職まみれのダントンは今の時代の感覚でいえばアウトなんだろうけど、でも私欲があるからこそ、いい仕事ができるのが人間でもあるし。
豪胆のみかけに隠された弱さ。人間らしくてチャーミングで憎めない。
「アデュー!モナミ!」で八重歯がキラ~ン!
これはいい役!
とても魅力的でした。


だいもん(望海風斗)は時に爆発的芝居をする人なので、
これまで、がおり(香綾しずる)が担ってきたように、それを柔らかく受け止めたり、ふっと抜いてかわすことができる芝居の上手い人が脇にほしいところです。でもがおりは退団してしまったし(涙)
しかし、今回はこま(沙央くらま)がその役割をはたしてくれました。
気弱で心優しきジャーナリストのカミーユ・デムーラン。
声も少し高めにしてましたね。
弱さの中に秘められた芯の強さがダントンと対象をなしていました。やっぱり上手いな~~。

しかも、ダントンを呼び戻すデムーランのソロ曲。
舞台を観ているときは完全に芝居に没入していて、デムーランの心情として歌を聞いていたのだけれどDVDでじっくり聞いてみたら
~月の夜も~雪の夜も~時を忘れ語った~
というような、卒業するこまのこれまでの歩みと舞台にかけてきた日々を連想させる歌詞になっているじゃない!
うぅ~~~泣ける!!
こまも卒業で、今後は誰がだいもんの芝居を柔らかく受け止める役割を担うのだろう。


一方で、だいもんに臆せずガツーンと挑みかかるように対抗できる人も欲しい。
あーさ(朝美絢)がその役割を担ってくれそうな予感がします。
国王裁判における演説でサン=ジュストがフランス革命の舞台に鮮烈デビューを飾ったように、あーさも鮮烈な雪組デビューをはたしました。
サン=ジュストはロベスピエール信者なので、けっして対決する役ではないのですが、恐怖政治になだれ込むシーンではある意味ロベスピエールを上回る陰のパワーが必要。圧のあるだいもんの演技や歌唱にけっして負けることなく正面からぶつかり合う、時には挑みかかることができる強さが感じられました。
あーさの歌はかつての雪組生に多かった大波ビブラート系なのだけれど、ゆきちゃん(高嶺ふぶき)、かしげ(貴城けい)に比べるともう少しピーンと張り詰めた緊張感があり、触れたらスパッと切れて血が滲んでくるような感じにゾクゾクしました。


ロラン夫人のしょうちゃん(彩凪翔)
ロラン夫人の処刑の場面は「焦燥と葛藤」という素晴らしいナンバーの背後で無言で描かれているので、舞台を観たときはどうしても歌うロベスピエールとマリー=アンヌの心情に引きずられてしまい、ロラン夫人に気持ちがあまり向けられなかったのがもったいなかったのです。
でもDVDだとロラン夫人をばっちり映してくれるのでじっくりと見ることができました。
ロラン夫人の有名な最期の言葉はセリフにはなかったけれど、この時のしょうちゃんの気高さ美しさの中にしっかり表現されていました。
素晴らしかった。