月刊☆臥看牽牛織女星

15年の空白を経て宝塚観劇を再開。失われた時を取り戻すためのスカイステージ鑑賞記録をぼちぼちと綴ります。

世界史覚書・フランス革命の食えない人々「ひかりふる路」DVD鑑賞4

雪

大好きな作品なんだけど舞台は1度しか観られなかったので、その時には沢山の登場人物までは頭の中で処理しきれないところもありました。

でもDVDだと役名を照らし合わせられるからフランス革命史をちょっと頭に入れておくと、それぞれがいかにも!っていう場面やセリフを与えられていてとっても面白い。
なので気になった人たちを忘れないようにメモしとかなきゃ。

テルミドールの場面で民衆のヤジのドサクサに紛れてタリアンが「おれの恋人は牢獄に入ったまま帰ってこない~~~~」ってヒステリックに叫ぶ小物感がツボ。
つばさくん(天月翼)ナイスです。
処刑間近の恋人から、やいのやいのと手紙でせっつかれてクーデターに加わった人なのだ。
ちなみにその恋人はのちのタリアン夫人。名前はテレーズ。彼女はジョセフィーヌの遊び仲間ですね。星組「ナポレオン」ではころ(音花ゆり)が演じてました。


まなはる(真那春人)が演じたフーシェ反革命の街リヨンで教会や資産家などの財産を略奪して私服を肥やす。街は徹底的に破壊する。ギロチンで一人づつ処刑するのが面倒くさいからと大砲で人々をまとめて吹き飛ばして川に捨てる。という、とんでもない人非人
ひかりふる路」でもリヨンの件についてロベスピエールが非難するセリフがちゃんとありました。それで国民公会に召喚されたものだから「粛清されなければならない人とはだれのことを指しての発言かっ!!」と必死の形相だったというわけね。

今までいい人役が圧倒的に多かったまなはるだけれど、今回はほんと憎々しいわ~と、ぎりぎり歯ぎしりしながら見ていたら最後の「あれは本当にロベスピエールだったんだろうか」っていうちょっと虚脱した戸惑いの表情がまた上手くてじわっとくる。
黒と白を単純には色分けできないこの芝居の奥行きを深めていました。

まなはるのすばらしい演技でこのフーシェという人がとても気になり、「ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789-1815」という本を読んでみました。めっぽう面白いです。「愛と革命の詩」のアンドレア・シェニエやマリー・ジョセフ・シェニエの名前も出てきました。おー懐かしい。
さて、その後のフーシェ。ナポレオン治世ではスパイの親玉におさまり、他人の秘密を握っては陰謀を張り巡らせ、抜け目なく生き残ったというとんでもなく陰険な野郎です。

ちなみにフーシェの前にリヨンに派遣されたあす(久城あす)が演じたクートンは城壁を形ばかりに削っただけで帰ったという。クートンサンジュストとともにロベスピエールの片腕だった人。
だからロベスピエールがギロチンで無差別に人を殺した極悪非道のテロリストっていう後世伝えられたイメージは信じられないんだよね。

議長のコロー・デルボワもリヨン大虐殺に関わっているし。演じたたっちー(橘幸)がのらりくらりとロベスピエールの発言を遮ってて、これがまた嫌な奴感が上手いんだわ。
たわしちゃん(陽向春輝)が演じたバラスも後々悪徳の士として名を馳せるし。
どう考えてもテルミドールのクーデターを起こした一派のほうが人間的には問題ありじゃん。

「歴史は生き残ったものによって作られる」という老獪なタレーランのはっちさん(夏美よう)のセリフもあったように、ロベスピエールは生き残った奴らに真実以上の極悪人に仕立て上げられたんじゃないかって常々思ってるんだよね~。

フーシェテルミドールのクーデターを起こした人々。そして後に亡命先から帰国したタレーラン。ホント食えないやつらだらけだもんな~~~。