月刊☆臥看牽牛織女星

15年の空白を経て宝塚観劇を再開。失われた時を取り戻すためのスカイステージ鑑賞記録をぼちぼちと綴ります。

90年の昔から「アーサー王伝説」1

月

たまきち(珠城りょう)プレお披露目公演。「アーサー王伝説」をCS鑑賞。
アーサー王物語といえばこれまで宝塚でも数々描かれてきたと思いますが、これはフレンチロックミュージカルだったんですね。

でもそれは宝塚がず~~っと昔からやってきたことなのだわ。

はるか90年昔、若き演出家が留学してパリで流行りのシャンソンを日本に持ち帰ってできたレビュー「モンパリ」
とはいえヨーロッパの文化は大人中心。彼が見たパリで流行りのレビュー劇場って大人の社交場なので、実はけっこうエロチックでエグい演目だったんじゃないかと。
それを大人も子供も楽しめるような内容に、衣装も美術も上品にして宝塚レビューの基礎が出来上がっていった。
外国の音楽を知るすべなど普通の日本人にはなかなかない時代、宝塚に行けば西洋のメロディに美しい日本語をのせた素敵な曲に酔いしれることができたのですね。それは新鮮な驚きと喜びだっただろうな~。


というわけで現代における本場のフレンチロックミュージカルも悪趣味ギリギリだけど斬新で美しい衣装とかシニカルでエロチックな芝居のエスプリがお子ちゃまには見せられない大人の娯楽作品なんじゃないかと推測しております。

それを清く正しく美しく作り変えて上演する、というのが昔の宝塚のやり方だったけれど、海外旅行もインターネットも誰もができるこの時代、元ネタを知る機会は昔の人に比べたら格段に多いわけで。そうなると、より本場に近い内容が求められてくる。
今どき宝塚の演出家よりも海外ミュージカルや音楽に詳しい人はいくらでもいるだろうし。宝塚の演出家にとっては難しい時代になったもんだわ。

まぁさすがに半裸の衣装で舞台に上がる訳にもいかないので、オリジナルを大切にしつつも宝塚風に変えているのでしょうが。
それでも大劇場の舞台にいきなり乗せるのはやっぱり抵抗があったのか「ロミジュリ」の初演は大劇場に比べれば冒険ができる外箱公演でした。
幸いこれが大成功でその後「ロミジュリ」は大劇場作品にもなったし、近年続々フレンチロックミュージカル作品が宝塚で上演されるようになりました。

だけどフレンチロックミュージカルの翻案ってやっぱ大変よね。
あの悪趣味ギリギリの衣装や美術をすっかり上品に変えてしまったら毒がなくなってその魅力が半減するし。
かといって本当に悪趣味になってしまったら雪組の「仮面の男」の悪夢再びになってしまうし。(これは海外ミュージカルの翻案じゃないけれど留学帰りの児玉先生がフレンチロックミュージカルとかシルクドソレイユとかの線を狙ったんだと思う。)
とにかく衣装担当や全体を構築する演出家のセンスがすごく問われる。

アーサー王伝説」はその点に関してはちょっと中途半端だったかな~。
衣装はよく見ればそれなりに凝っていたけれど、テイストは普通の宝塚の衣装とたいして変わらない。
フレンチロックミュージカルっぽいキッチュな存在は神様?の女の子なのだけど、この衣装が微妙にセンスがよろしくない。コレジャナイよなぁ。なんかの使い回しかしら?せっかく面白い存在なのだから演じるのが下級生でも世界観を大切にした衣装を作って欲しかったよぉ。

う~む演出は石田先生か。
まぁ児玉先生のような悪趣味に落ちなかったのはよかったけれど、このあたりの美術センスの翻案具合はやっぱり小池先生の「ロミジュリ」・「1789」、生田先生の「ドン・ジュアン」のほうが断然いいね。
そうそう木村先生の「太陽王」の衣装がポップでエグくて好き。フレンチロックミュージカルというならせめてこれくらいはブチ切れて欲しい。