月刊☆臥看牽牛織女星

15年の空白を経て宝塚観劇を再開。失われた時を取り戻すためのスカイステージ鑑賞記録をぼちぼちと綴ります。

中世は淫靡で陰惨「異人たちのルネサンス」1

宙

万能の人レオナルド・ダ・ヴィンチが主役で話が成り立つのだろうか?って心配だったんだよね。
いやぁ~~。面白かったわ!

そして、この作品。
エ、エロい。
舞台だし、宝塚だし、ずいぶんぼかしてありますが、めっちゃ淫靡な話でした。


エロの元凶グイド司教のあいちゃん(愛月ひかる)
プログラムには「カテリーナの親代わり」だなんて書いてありますが、もちろんホントは親代わりなんかじゃありませんわよ。
無垢な少女の尊厳を破壊し、周りの男たちから性的な対象としてしか見なされない女に仕立てあげたわけですから。

しかも悪いのは周りの男たちではなくお前の方なのだと色欲の罪の意識まで彼女の奥深くに植え付けて支配するという悪逆非道の聖職者を色っぽいあいちゃんがねっとりと演じています。
本来ならR18。
お子ちゃまはフィナーレ以外は見てはいけません!


そんな男たちの欲望をかきたてる蠱惑的な女性と罪の意識に恐れおののく清純な少女の二面性を持つカテリーナのまどか(星風まどか)。
まだ頬がぷくぷくと可愛らしいんだけど、年齢の割にはしっとりと甘い声、落ち着いた歌唱。

中卒入団の若さゆえ、正直あと2年、いえせめて1年くらい後にトップ娘役になってほしいと思っていたのよ。その力量は申し分ないとは思うものの、やっぱり大人の情感ってそれなりの年齢にならなければ出てこないものだから。

でもこの作品では、そんな少女と大人の境目のなんともアンバランスなエロティシズムが生かされていて、うん。今しか出来ない役だよね。やっぱりアテガキっていいわ。


イラつく弟ジュリアーノのずんちゃん(桜木みなと)
暗く疼くような苛立ちがなんとも言えずエロいです。
パッツィ家の陰謀の史実については知っていたので、また殺されちゃう弟役かよって思っていましたが、こんな切り口で描かれるとは予想外。めちゃめちゃドキドキしました。


すべてを手に入れる兄ロレンツォのキキちゃん(芹香斗亜)
ヤバイです。
なにもかもヤバイです。
冷ややかに燃える瞳。その細く長い指の背でツツーとまどかちゃん胸をなぞるとこなんざ~~~。
ひ、ひえぇ~~~。エ・エロッ。
この劇場のいったい何人の女性の心の悲鳴をあげさせたことやら。ほぼ全員だよっ!

さすがにメディチ家の豪華王と呼ばれた器の大きい男。正妻のせーこ(純矢ちとせ)に対しては鷹揚でそれなりのリスペクトも感じられます。結構似た者同士なのかも。

でもカテリーナを人間としては扱っていない。せいぜいが美しい小鳥程度、生かすもひねり潰すも思うがまま。

カテリーナは権力者で加虐体質のメディチ家の人々からも、陰湿な野心を抱えたグイド司教からも尊厳を踏みにじられ続ける。
その上グイド司教からは色欲の大罪により神から救われることもないという恐怖まで植え付けられている。神が世界の中心という中世において、これは生きながらの地獄だよ。

まどかが美しいからみんなを惑わしてモテモテという話では決してない。
ものすごく陰惨な話だ。


そこに現れたのが彼です。

唯一白く清潔感あふれるゆりか(真風涼帆)。
ここで彼が真実を見透す目を持ち、何にもとらわれず自由に羽ばたける才能を持つレオナルド・ダ・ヴィンチであることが活きてくるわけなのね。

静謐な中にほのかに漂う色気が寂しげで。
権力者たちの権謀術数に巻き込まれながらも静かに己を貫く大人の男が似合っていてとっても美しい!
この方のそこはかとない翳りが好きです。


あとポスターもすごく好きだな。
ゆりかレオナルドが手にしているのが鉛筆というのは、いささか時代を先取りし過ぎだとは思うけど。飛行機やヘリコプターの原型を設計するような人だからこれくらいは自作できるということでよろしいかと。

とにかく美しいし、キキちゃんとまどかちゃんの表情も役に入ってて良いし。しかもこの二人、よく見ると途中で写真から絵に変化しているのね。凝ってる!
ダ・ヴィンチがデッサンしたカテリーナとロレンツォっていうコンセプトなのかしら?
おぉ!副題がまさに「ダ・ヴィンチが描いた記憶」なるほどねー。