月刊☆臥看牽牛織女星

15年の空白を経て宝塚観劇を再開。失われた時を取り戻すためのスカイステージ鑑賞記録をぼちぼちと綴ります。

ぜひ花道のある劇場で「琥珀色の雨にぬれて」

花

柴田侑宏先生の追悼番組として、スカステで急遽「琥珀色の雨にぬれて」花組初演が放送されました。
大劇場でも東宝でも一体何回観ただろう。そうだ!新人公演も観ているわ~。

スカステの放送はその昔、関西テレビの「タカラヅカ花の指定席」という番組用に編集されたものと同じでした。
実はその番組を録画したビデオもまだ持っているんだけれどね。ビデオデッキもないから見ることもできないのに未だに捨てられない。
当時CM込みで1時間半弱の放送時間の番組だったから、芝居だと残念ながら色々カットなのです。

カットされた主な部分は
オープニングのタンゴ。
エヴァが歌うジゴロの心得の歌。
フランソワーズのソロ。
青列車に乗り込むところ。
ニースのホテルでの人間模様。
「セ・ラ・ヴィ」の前半部分のルイとシャロンが歌うところ。
後半のクラブ・フルールでのガス灯を巡って繰り広げられるちょっとコミカルな男女のダンス。
などなど。

いい場面が結構がっつりカットされてるわ~。
オープニングのダンスは必見なのだけど、ここの映像残ってないのかなぁ。

最近全国ツアーで再演されることが多く、しっかりとした脚本なので人数が少なくても見応えがあるドラマとはなっていますが、
やっぱりあのオープニングのタンゴは大劇場ならではの大人数でもう一度見てみたい。

それから、あのダンスには人数だけでなく上手の花道が絶対必要なの。

「ジェラシー」の間奏の盛り上がるところで男女ペアが円をえがくようにぐるぐると舞台を回り、そして先頭から列をなして下手奥へはけていくその最後尾のペアにつながるように上手花道から新たなペアの隊列が出て来た時!音楽ともぴったりあっていて全身の毛が全部逆立つくらい興奮したっけ。

このダンスから一気に物語の世界に引き込まれていったのよね。すごい求心力だった。


当時、ペイさん(高汐巴)、ひとみちゃん(若葉ひろみ)、なーちゃん(大浦みずき)、まさえちゃん(秋篠美帆)というとても大人っぽい布陣の花組で大人の恋の顛末を香気あふれる柴田先生の作演出で観ることができた幸せ。


他の出演者も大人な人が多かった。
フルールのマダムのエヴァを演じたカミコさん(美野真奈)も上品でチャーミングで。歌も芝居も上手くて大好きでした。


実業家たちも貫禄と色気があったなぁ。りんちゃん(但馬久美)、しんちゃん(なかいおり)。しかも身のこなしがかっこいいんだ~。ふたりとも実は名ダンサーだし。


ジゴロの面々もルコさん(朝香じゅん)、ピノさん(瀬川佳英)、ソルーナ(磯野千尋)。

若手はかずき(幸和希)、むっちゃん(翼悠希)。
ゆみこさん(梓のぼる)もいたな〜。なんか青い血が流れていそうなちょっと冷たい感じが結構好きでした。


クロードとシャロンが出会うフォンテンブローの森のシーン。踊りながら移動してしまうシャロンを追って大きな蓄音機をへっぴり腰で持ち運ぶピノさんが好きでした。
だって振動でレコードの溝から針が動いて音が飛んでしまわないようにそっと運ばないといけないのよ。音楽は持ち運べるものと思っている若い人達にはきっとわからないわよね。再演ではみんなひょいっと持って行っちゃう。

そんなちょっと三枚目風のピノさんジゴロなのですが、顧客のマダムとしめし合わせて客室に消えるその一瞬にサディスティックな表情を浮かべるところがツボでした。
周りの人たちには尻に敷かれたひょうきん者の年若いツバメと思わせているのにマダムと部屋で二人きりになると立場が逆転するのねきっと。そんな関係性をほんの一瞬で表現。ジゴロってエロい〜とドキドキしたっけ。


そういえば、ヤンさん(安寿ミラ)は大劇場ではシャロンに絡むマフィアの男のボディーガードでしたが、ジゴロの一人きよちゃん(清まさみ)のムラでの退団により東宝でジゴロに昇格したんだった。ヤンさんのジゴロのダンス、翳りがあって、かっこよくって大好きでした。


ラストシーンのマッジョーレ湖畔。下手花道にはけるシャロン一行。
一人傘を持たないマネージャーのオッコさん(真汐ちなみ)がふと空を見上げ、顔に降りかかる雨に目を一瞬伏せたあと足早に一行を追いかける演技も好きでした。
琥珀色の雨が私にも見えましたよ。


大幅カット版ではあったけれど、あの時の胸の高まりを色々思い起こすことができたスカステの放送でした。