月刊☆臥看牽牛織女星

15年の空白を経て宝塚観劇を再開。失われた時を取り戻すためのスカイステージ鑑賞記録をぼちぼちと綴ります。

アンドレ登場!「アルジェの男」全ツ2

星

嬉しい!
まさに私が望んだアンドレが出てくる「アルジェの男」
星組全ツをCS鑑賞しました。

この物語のキーマンであるこの役。
退役軍人アンリではなく屋敷の使用人であるアンドレでなくてはならない理由についてはこちら。

この物語で大好きなのがアナベルアンドレなのですもの。
絶対にこちらに戻してほしかったの。

アンドレ♪かりんちゃん(極美慎)

かりんちゃんがアンドレとの発表を見て、多分下男ではなく従僕っぽい使用人になるんだろうなって思ってましたが、予想通りでした。
身なりもきちんとしてシュッと姿勢がよくって、将来は執事っていう雰囲気。

フランスの上流階級がどのような感じなのかなんて知るよしもないですが、ジェームス・アイボリーの映画なんかを見ると(これはイギリスが舞台だけれど)、執事や小間使いなど奥向きの使用人と、庭師や屋敷の修繕などの外周りの使用人と2種類あるイメージです。

なので私のアンドレのイメージって実を言うと今回のような執事候補ではなく外で働く使用人。ご主人様たちのいる部屋なんか滅多に入ることないガテン系の男なんですよ。
だから庭仕事とか屋根の修繕なんかのあとにそのままテラスの窓の外でそっとアナベルのピアノを聞いていたんじゃないかなと勝手に想像してました。
で、そんなアンドレを目の見えないアナベルがどうして気がついたかというと、それは彼から発せられる汗とお日様の匂い。
きっとアナベルから話しかけて交流が始まったのではないかと。
この当時、目が見えなければ外に出ることもほとんどなかったでしょう。
身の回りにはごく親しい親族と小間使などの奥向きの使用人しかいないアナベルの前に現れた陽の光の匂いを感じさせる唯一の人。それがアンドレだったのではないかと妄想。

だからね。本当言うと背広をきちんと着こなした執事候補ではなく、白シャツを腕まくりして少し日焼けしたアンドレだといいなぁと思ってはいたのです。
でも、それだとかりんちゃんではあんまりイメージできなかったので…。きっと奥向きの使用人になるだろうと予想はしていました。

でもね。これがとても良かったの!
なんといってもかりんちゃんの清潔感と美しさ。
傷心のアナベルの場面でのひざまずいた後ろ姿はほんとうに切なくて美しい構図でした。
身分が違うから決して叶うことはないし、もちろん無理やり叶えるつもりだってないけれど、アンドレの心にあったのは紛れもない恋。でも身分差ゆえその恋心を表に出すことは決して出来ない。
細い肩を微かに震わせ、声を押し殺して泣く後ろ姿に胸を打たれました。

アナベル♪あいちゃん(小桜ほのか)

なんといってもこの芝居のMVPはあいちゃんでしょう!
もう好きすぎて何を書いていいのかわからないほど好き!

しかしさぁ。アナベルの叔母シャルドンヌのゆず長さん(万里柚美)も残酷よね。
社交界を己の美貌と才覚で生き抜いてきた彼女から見ると目の見えない姪のアナベルは何も出来ず、何も知らずに一生を終える可愛そうな娘ってことなのよね。
当時の価値観では結婚はおろか恋すら出来ない人間だからせめて女の喜びを教えてとジュリアンに持ちかける。
だからジュリアンは平気でアナベルを利用する。ゆず長さんがジュリアンを利用するように。

でもあいちゃんのアナベルは周りが思っているような何も出来ない娘では決してないの。
ジュリアンと初めて会った時のウィットに富んだ会話。見えてはいないけれど生き生きと輝いている瞳。
彼女がとても知性的で魅力に満ちた人間であることがわかります。
そしてジュリアンに愛されるトキメキで(それは偽りの愛だったのに)バラ色に染まる頬。あぁ、なんてチャーミングなの!
ジュリアンに触れられた時の反応が美しくも官能的でドキドキしました。


ジュリアンがエリザベートを選んだことを知って、賢いアナベルはそのすべてのカラクリに気づいたんじゃないかと思う。
ジュリアンの愛を失ったのではなく、そもそも最初からなかったこと。
そしてそれを仕向けたゆず長おば様の考え方。こちらはアナベルを愛しているがゆえではあるのだけれど…。

だから彼女はひっそりと湖畔の別荘に行く。
彼女が自らの命を絶ったのか、そうではなかったのか。それはどちらでも同じだと思います。
なぜなら彼女が唯一自在にその世界を駆け回る事が出来るピアノの演奏は永遠に失われ、その魂もまるで抜け殻のようになってしまったのだから。
空蝉のようにふわっと気を失ったアナベルの儚さ。
その後のソロも本当に素晴らしかった!!
あいちゃん大好き。愛してます!

シラノ・ド・ベルジュラックのヒロイン。観たいな~。