月刊☆臥看牽牛織女星

15年の空白を経て宝塚観劇を再開。失われた時を取り戻すためのスカイステージ鑑賞記録をぼちぼちと綴ります。

丸くなっちゃったの?「チェ・ゲバラ」

月

原田諒先生×いしさん(轟悠)という鉄板演目。
CS放送で見ただけですが「リンカーン」も素晴らしかったし、「ドクトル・ジバゴ」は最高傑作と言ってもいいくらい感動した。

なので「チェ・ゲバラ」こそは絶対劇場に行こうと思っていたのですが…。
無理をすればなんとかなるかもとは思ったものの日程が調整しきれず結局観劇を諦めちゃいました。れいこちゃん(月城かなと)の休演でちょっと気が削がれたところは確かにあります。でも放送を楽しみにしていました。


チェ・ゲバラといえばカリスマ的革命家でTシャツになってる人という程度の知識しかありません。それと「エビータ」。あと若き日のチェ・ゲバラを描いた「モーターサイクル・ダイアリーズ」って映画あったよね。

受験科目が世界史だったとはいえ、宝塚ファンあるあるでその興味はヨーロッパと中国の王家の興亡中心。だから北米・中南米の歴史はほぼほぼわかりません。メキシコが一時期ハプスブルク家だったのは知ってるよん。まぁ、そのくらい。
そういえばある学校の入試問題で大問のうち一問がまるまる中南米のどこかの国についてだったことがあったなぁ。どの国だったか覚えてないけれどキューバではなかった気がする。
まじかー!王子様のいない国の歴史なんて知るかよ!と速攻であきらめた記憶。もちろん不合格でしたわ。


そんなわけで月組公演「チェ・ゲバラ」をCS鑑賞。
カストロとの出会い。キューバ革命。ここまでが一幕。
出来上がった新しい国での政治の道を捨てて再びラテンアメリカ革命の戦いに身を捧げ、道半ばにて死すまでが二幕。
うーむ。なんというか。
それだけでした。

ミュージカルシーンの演出が上手い印象がある原田先生なのですが、今回は特に目を引くシーンがなかったのが残念。
戦闘シーンを正面向いたダンスで表現ってベルばらのバスティーユの時代からあるもんね。

冒頭の現代のシーンも必要だったのかなぁ。やす(佳城葵)の演技は好きだけど。
やっぱチェ・ゲバラといえばTシャツの人だよねって言う私と同じ程度の観客向けの説明だったんでしょうか。


そして、主演のいしさん。
風貌も正義感あふれる男っぷりも完璧…なんだけど~なんかこう…
丸くなったよね。
体型のことじゃないわよ。
醸し出す雰囲気に尖ったものが感じられなくなった。もっともチェ・ゲバラが尖っていたかどうかは知らないけれど。

その存在感はたしかに大きくて雄大。大人の余裕。
だからむしろカストロを演じたほうが良かったんじゃないかしらん。と、ふと思ってしまった。


れいこちゃんの休演によってカストロを演じることとなったおだちん(風間柚乃)。
いしさん相手によくぞここまで!と感心する。
学年差どれだけ?おだちんはまだ新人公演学年の100期生。れいこちゃんですら相当な学年差なのに。
それが盟友としていしさんと同等のしかも実在の人物を演じる。それどころか時にはいしさんをも越える大きさを出さなければならない。
なのに違和感あんまりないのよね。この老成された演技力。すごすぎる。

もしこの人がチェ・ゲバラを演じたとしたら物語はどんなふうになっただろう。
まぁもちろん宝塚はスターシステムなので、たとえどんなに演技力があったとしてもここでいきなり主役を演じられるわけもなく。

でもね、熱き革命家チェ・ゲバラおだちん、老獪な政治家へと変貌するカストロいしさん。おもわずそんな妄想をしてしまうほど、この人の演技には人を惹きつけるもんがあります。


おだちん繰り上がりによる代役。ぱる(礼華はる)
まだ101期生だし、不器用なところもあってもちろん色々物足りない部分はある。
でも、その不器用さが良かった。

純粋でひたむきで、うまく立ち回るなんて微塵もできない。声に出すことの出来ないその逡巡がふとした表情に浮かびます。
体制側と革命家たち、そして愛する人との板挟みに苛まれる姿が禁欲的な軍服とともに似合っていてとても美しかった。
代役のチャンスをものにしましたね。

まだ走り方とかが女の子っぽかったりするので、この恵まれた頭身バランスを活かすため今後は更に身のこなしを研究してほしい。
期待してます。