月刊☆臥看牽牛織女星

15年の空白を経て宝塚観劇を再開。失われた時を取り戻すためのスカイステージ鑑賞記録をぼちぼちと綴ります。

懐かしの新人公演特集6

専

観劇ブランクで失われた15年を取り戻すべく、引き続き懐かしの新人公演をぼちぼちとCS鑑賞中。タイトル/組/主演/作演出/新公担当演出として記録します。

「追憶のバルセロナ」/雪/壮一帆/正塚晴彦/児玉明子

えりたん(壮一帆)ラスト新人公演。
正塚先生の作品ということもあって少しひねりのある恋愛模様。甘いラブロマンスではありません。えりたんが甘々ラブロマンスを演じたらどんな感じになるのかちょっと見てみたかったなぁ。
でも、もしかしたら演じる人によっては親友と結婚した元婚約者とのやり取りなどにもう少し葛藤や切なさが感じられたのかもしれない。
しかしスパッと竹を割ったようなえりたんなのでそこは結構あっさりなんだよね。切り替え早いっす!それよりも祖国を取り戻すことにまっしぐらな姿が印象的でした。

相手役はとなみ(白羽ゆり)。初ヒロインだったのね。
本役のまひるちゃん(紺野まひる)よりも血の濃さを感じさせる情熱的な女性であっさり目のえりたんと相性が意外と良かったわ。恋愛については女性のほうが押せ押せというのが結構好き。

おっちょん(成瀬こうき)が演じた2番手役には男役時代のいずるん(天勢いづる)。
手堅い芝居だし、男役としての声も細めだけどまずまず。とはいえ、この役本当に難しいな。
敵なのか味方なのか。裏切り者なのか同士なのか。ちょっとした表情の違いでバランスがどちらかに傾いたり、あるいはどちらにも傾いてしまってよくわからない人物になったりする。本役のおっちょんですら微妙だった気がするくらいだから、さすがのいずるんも手こずっていたかも。新人公演で演じるにはあんまり美味しい役じゃないよね。

ケイちゃん(音月桂)は3番手のコムちゃん(朝海ひかる)の役。
そう!この役が一番いい役なのよ~。
ケイちゃんは本当に大切に大切に育てられたんだなぁというのがよくわかる配役。
そして声が一番豊かなのがケイちゃんなのだわ。
宝塚の主演というのは色々な要素が必要になってくるけれど、やっぱり声の良さというのは重要なんだと思う。
小顔で長身のえりたんではなく小柄なケイちゃんのほうがトップ街道まっしぐらというのはその美声ゆえ…なのかどうかはわからないけれど。

そしてりかさん(凰稀かなめ)がケイちゃんが演じていた役で抜擢されていた。
声も動きもまだまだ女の子だけどさすがのスタイル!


鳳凰伝」/宙/遼河はるひ/木村信司/木村信司

宙組設立時からのメンバーで新公でオスカルも演じたあいりちゃん(華宮あいり)や実力派のリキちゃん(速水リキ)がついに主演になれずに老け役にまわり、またしても組替えで来た人が主演となった宙組新人公演。うーむ。宙組の育成って、なかなか切ない。
でもね。内容は素晴らしかった!
見事な新人公演でした。

あひ(遼河はるひ)最終学年で初主演だったのね。
十分な実力だし、芝居は危なげないし、立派でした。
あひが最下級生の頃の月組は一番見ていなかった組だったし、観劇ブランクの時期に活躍、そして退団してしまったので、残念ながら実際の舞台は見たことがないんだけど、ねっしい(日向薫)にすごく似ているなぁとなんとなく懐かしく見てしまった。ねっしいよりはずっと落ち着いた感じだけど。
カラフってわけのわからない強烈な自信を持つというよく考えれば変な男なのですが、あひの冷静な佇まいによってその自信こそがやがて王となる者であるのだという説得力をもたらしていました。
ねっしいのような底抜けの華やかさではないけれど、とても美丈夫で圧がある。

かなみちゃん(彩乃かなみ)はトゥーランドット
温かみのあるかなみちゃんがチャームポイントの笑顔を封印して取り付く島もないような冷酷な王女を演じるのは本当にチャレンジだったと思うの。
切れ長に描いたメイクが似合っていてとっても綺麗でした。そしてひたすら耳福!
豊かで穏やかな中音域の歌声が大好きなんだけど、ただそれゆえに孤高の王女という感じは薄かったのかもしれない。
もしもこの時にこの役がガツーンとハマっていたら月組トップの時にエリザベートだって出来たかもしれない。かなみちゃんの「夜のボート」はきっと素晴らしいだろうなぁ。聞きたかったなぁ。

盗賊バラクにはともちん(悠未ひろ)が抜擢。
この役自体がすごくいい役なんだけれど、それをちゃんと美味しい役にできるかどうかは演じる人にかかっている。
ともちん素晴らしかった!
登場シーンからめちゃめちゃかっこよくて痺れました。
しかし、このバラクにはトゥーランドットの美貌が全く刺さらなかったってとこ、なんか面白いよね。彼の胸に刺さったのはカラフのほう。
ともちんって女になびかない男が似合う。
芝居も情があって上手い。抜擢に応えたのだね!

そしてとにかく宙組男役の面々がみんな高身長でかっこいい!
えりこ(七帆ひかる)、まさこ(十輝いりす)の子分コンビ。イケメン!
北京の民衆のなかに、みーちゃん(春風弥里)、ちーちゃん(蓮水ゆうや)発見!
大ちゃん(鳳翔大)はどこー?と思ったら兵士の中にいました。

そんな中、少年役でチギちゃん(早霧せいな)登場!
宙組の中では身長が低いのでまずは少年役ということですね。声も高いし元気いっぱいでほんと可愛かった。
チギちゃんのようにここからちゃんと大人を演じられる男役に成長していけるかどうかって、いったいどこがポイントになるんだろう。


「ガラスの風景」/星/涼紫央/柴田侑宏・謝珠栄/鈴木圭

82期生ラスト新人公演が続々。
この時の星組は奇跡のように歌うまスターが揃っていて、その上専科からガイちゃん(初風緑)まで出演。けっして名作とは言えないけれど、カンツォーネの名曲がたっぷり盛り込まれた大人の物語で割と好きな作品。
そんなわけでこれを下級生だけで演じるのは厳しいね。
39歳、過去のある大人のたゆたいを研7で表現するなんてどう考えても無理ではあるのですが、とよこちゃん(涼紫央)は素敵な青年でした。
これと言って破綻はないんだけどなぁ。かといって手放しで好演とも言い切れない。要するにこれ、難しすぎるよね~。

チエちゃん(柚希礼音)は芝居はまだまだヤバ目だけれど若さと勢いで押し切った、というか押し切れる役。
出番が多く目立つけれど、これといった葛藤はない刑事役なので大人のとうこさん(安蘭けい)が演じると逆にしどころがないような気がしたもん。とうこさんにはもっと心理的に難しい役を演じてもらいたいって思っちゃう。
だからこの役、若者が演じるほうがむしろぴったりくる。やっぱりチエちゃんって大切に育てられたんだなぁ。

ガイちゃんの役はももこ(大真みらん)。
なんとなくお顔立ちがルコさん(朝香じゅん)に似てる気がする。
出番はあまり多くはないけれどその背景を感じさせなければならない一番むずかしい役。さわやかな青年紳士の容姿に苦悩を滲ませていて、なかなかの好演ではないですか!
新人公演ではいつも割といい役を演じているよね。なのに本公演で抜擢されているイメージがないんだけど~。なんでだろ。

みなみちゃん(南海まり)が良い役がついている。かわいい~~~。健気な令嬢がよく似合う。

そしてついにさゆみさん(紅ゆずる)が最下級生で登場!
場面のつなぎのシーンで下手花道で歌う男女の中の端っこにいたのだけれど、なぜだか一人発光しているように美しくてすぐわかった。ちょっとびっくりしたわ。
終盤、若者たちが銀橋で歌う場面では上手の端っこの付け根あたり。最後のご挨拶も上手の端っこ。
この隅っこにいたピヨピヨが後にトップスターまで上り詰めるのね~。

春麗の淡き光に」/雪/音月桂/植田紳爾/大野拓史

けいちゃん(音月桂)が再び主演に返り咲き。
まぁ~~~、新人公演とも思えぬ驚きのクオリティ。
歌、芝居の技術的なことはもちろんだけど、男役としての声や所作が新人公演学年とは思えないほど出来上がっている。
こりゃぁ、明日からでもトップスターでいいくらいだわ。と、思ってふと考えた。
トップの時のけいちゃんの舞台は2回ほど見ているけれど、なんだかもうこの新公の頃からすでに同じくらいのクオリティがあるような気がする。それだけ早いうちから完成されているっていうのは良いことのようでもあり、変化に乏しいということでもあり。
んんん~~~難しいなぁ。

いずるん(天勢いづる)が素晴らしかった!
憂いを秘めたうりざね顔に潤んだ切れ長の目がキラキラと光っていて、悲壮感に溢れています。
「憎む憎む憎む」の歌を聞いて、これがハマコ(未来優希)が演じた役だとようやく気が付きました。
でも全く違う役作りでしたね~。主人公と対抗軸をなしている上、悲劇的な二枚目なのでてっきりこちらの役が二番手だと思った。
これほどの男役がいつ娘役に転向しちゃったんだろう。って思って調べてみたら新人公演学年を終えたあとだった。しかも新公主演もなかった。
えぇぇ~~~?なんで~~~~?
そりゃぁかなり小柄ではあるけれど。この好演を見たら私だったら絶対!次の主演にするのに~~~~。


「シニョールドンファン」/月/北翔海莉/植田景子/児玉明子

みっちゃん(北翔海莉)初主演。
芝居や歌唱の技術的クオリティはこの頃からさすがですが、身のこなしがまだ女の子なのが微笑ましい。みっちゃんにも下級生の時代があったのね。
それにしてもこの作品で初主演だったのか~。
美的センスの塊みたいなリカちゃん(紫吹淳)が演じたトップデザイナーの役。
リカちゃんは男役としてはけっして恵まれた顔立ちじゃないし花組で最下級生のころのナヨナヨ姿だって覚えている。それがあれよあれよと言う間に独自のかっこよさをつかんでいけたのは、ひとえにその美的センスに基づいた自己プロデュース力の巧さだったと思うんだよね。
なんでも器用にこなせるように思えるみっちゃん唯一の弱点がここにあったわけで、まさかこの役で初主演とは思わなかったよ。

ヒロインは娘役に転向したるいるい(紫城るい
少女の潔癖さを強く感じさせた本役のえみくらちゃん(映美くらら)に比べるとさすがの上級生感。可愛らしいけれどどこか大人びた雰囲気が復讐の哀しさを醸し出していてとても良かった。

ハリウッド女優のあいあい(城咲あい)はさすが。
もうこの時すでに本公演で政治家の若き妻役に抜擢されているんだもんね。
大人びた美貌に確かな芝居力。

それから、たまこちゃん(椎名葵)がすごく好き!
一生懸命なんだけれどどこか抜けてて空回りしがちな女の子を好演。コメディエンヌとしても見事だし、声がまろやかなところがまたいいのよ。
この頃宝塚を見てたらきっとファンになってただろうなぁ。
今回は男役より娘役さん達の好演が印象に残りました。

そんな中、まさお(龍真咲)がディーラー役で登場!
動くと女の子になっちゃうんだけれど、センターで踊るその押し出しの強さだけはもうすでにこの頃から光っているわ。