月刊☆臥看牽牛織女星

15年の空白を経て宝塚観劇を再開。失われた時を取り戻すためのスカイステージ鑑賞記録をぼちぼちと綴ります。

本日「ロミオとジュリエット」(A)LIVE配信

星

今回も緊急事態宣言に伴う公演中止という辛い出来事にみまわれた星組ですが、観客を入れ素晴らしい大千穐楽を迎えることが出きてよかった。
無観客での配信は辛くて見る勇気がなかったので、この千穐楽に観客が入ることを信じて待っていました。前回見たのは大劇場のB配役でしたので、Aパターンは念願の初鑑賞です。
今回は役替りを中心に感想を書こうかな。

優雅で甘やかな愛と死

冒頭の愛のソロダンス。ちゃりおくん(碧海さりお)ですね。
初めてしっかり認識しました。
お顔立ちはファニーだけれどとても美しい身のこなしでなんとなく女神のようだわって思いました。手足が長くて女性としては長身だからギリシャ神話とか西洋の女神を思わせます。
そして死はぴーすけ(天華えま)。
時に優しげで時に悲しげでそっと寄り添うような死です。
「fff」のまあやちゃん(真彩希帆)みたいな感じ?ずっと付かず離れず一生を共にする。
そうだよね。誰もが生まれたときから死ぬ運命を背負っているのだもの。彼はずっとそばにいるのだね。
そんな愛と死の甘美でたおやかなダンスで彩られたAパターンは、物語のロマンチック度がより高まったように思います。

麗しいティボルトあいちゃん(愛月ひかる)

Bパターンの死では背筋も凍る圧倒的存在感だったあいちゃんなので、ティボルトもそういう感じになるのかなぁって思ってたら全然違ったわ。
役作りはそんな単純じゃないのだ!
哀しさや孤独がとても美しいティボルト。
ナイフを持っていても凶暴なギラツキ感とはちょっと違うのよね。
ジュリエットの代わりにナイフを優しく愛撫しているようなイメージ。もちろんそんな直接的な描写はないんだれど。でも想いを内に秘めているからこそ逆にエロスが引き立ちます。
色濃い役が多かったからまさかティボルトでこういう麗しいあいちゃんを見ることができるとは思わなかった。
美しくて繊細なあいちゃんって大好きなの!
ところが2幕。「今日こそその日」でブチっと狂気のスイッチが入ります。
うぅわわわわぁぁあああ。こっち側のあいちゃんも大好きだ~~~~~!
ティボルトの複雑な人間性を違和感なく表現したあいちゃん。さすがです。

無力感にさいなまれるベンヴォーリオせおっち(瀬央ゆりあ)

このヴェローナという憎悪渦巻く町の中ではあまりにも無力な青年。いや青年未満かな。けっして外見が子供っぽいわけじゃないんだけれど。
「世界の王」のわちゃわちゃ感。子供の頃からずっとつるんできたんだって感じられる。あ、そうか!ことちゃん(礼真琴)と同期生なんだもんね。
この世界を変える力はまだなくて小さな世界の王でしかない。そういう意味で青年未満の青年。
「どうやって伝えよう」もすごく良かった。
「伝えよう」って自分に言い聞かせながらもどうすればいいのかわからないまま、とにかく必死の思いで伝えて、伝えたところでやっぱりどうすればいいのかわからないまま去ってしまう。そして友は永遠に帰ってこない。
己の無力さにどれだけ苦しんだだろうか。ベンヴォーリオってなんて悲しいんだろう。
せおっちってあんなに眼力つよいのに、時にほろほろと砕け散ってしまいそうな脆さを醸し出すのだもの。本当にせつないよ。

末っ子マーキューシオかりんちゃん(極美慎)

どーしょーもないガキンチョなんだけどイケメンだから困っちゃうわ。
あれじゃぁ周りも甘やかすでしょ~。
しかも何をやっても結局許されちゃうことを自分でもわかっているもんだからいつまでたってもガキンチョのままなのね。
あいちゃんのティボルトのほうが人間性の複雑さも体力面でも圧倒的に上。ナイフを持って立ち向かったところでひとたまりもありませんでした。束になってかかったってブチ切れたあいちゃんに敵うわけ無いじゃん。
かりんマーキューシオとぴーすけマーキューシオとでは死んだあとのロミオの逆襲の感情ががちょっと違うように感じられたのも役替りならではですね。
ぴーすけマーキューシオの時はことちゃんは感情を溜め込んだ上でナイフを握ってた気がします。多分死にゆくマーキューシオとの芝居の間にそれだけ情感があったんだな。
かりんちゃんマーキューシオの死では、ロミオはもう反射的にティボルトに向かっていったように思えました。
いたいけで無鉄砲、憎めない愛らしさのかりんマーキューシオの死は儚く無残で、そりゃぁロミオも一瞬でブチ切れるわ。

絶妙なパリスあかさん(綺城ひか理)

モンタギュー家とキャピュレット家が血で血を洗うヴェローナという町で大金持ちのパリスってどういう立ち位置なんだろうって常々不思議だったんだよね。
でもあかさんのパリスを見るとなんとなくわかるような~。
なんだか絶妙にうざキモくって、いきり立ったヴェローナの人間からしたらアンタッチャブルなんじゃないかしら?あんまり関わりたくないって感じ。
といっても絶対喧嘩とかしなさそうだし、まぁ悪い人じゃぁないし、結婚相手として意外にいいんじゃない?ってくらっち(有沙瞳)の乳母がころっと意見を変えたのもわかるわ。もしかしてちゃんと見抜いているの?
かりんちゃんのパリスは結婚した途端に浮気しそうだけど、あかちゃんならきっと大事にしてくれると思える。
でもジュリエットとしては絶対ダメなんだろうな~。生理的に無理なんだろうな~。なんてかわいそうなパリス。
だけどフィナーレの金髪オールバックのあかさんの男の色気よ!
思わずきゃ~~~~!!!と叫びました。
むちゃむちゃ男前度があがってる~~~。

厳かな大公レオさん(輝咲玲央)

素晴らしかった!
今までの大公ではまゆぽん(輝月ゆうま)がなんといっても好きだったんだけれども、レオさんもベテランならではの重々しさがあってぴったりだった!
厳かな中に人としての苦悩がチラ見えするところがまたセクシーで素敵。

そしてフィナーレ

死の圧倒的支配で悲劇真っ逆さまのBロミジュリも
甘美な愛と死が彩るロマンチックなAロミジュリも
どちらも素晴らしかったわ~。
そしてフィナーレがあるのがやっぱり素敵。
大階段に座るあいちゃんを見て気絶しそうになったり、KAORIalive氏振付の超絶かっこいい群舞のあとに、ことちゃん&なこちゃん(舞空瞳)のスゴ技デュエットダンスがあるのがもうたまりません!
そしてこのデュエットダンスでとっても嬉しかったことがあって、それはなこちゃんが過剰な膝折れなんかをすることなく伸びやかな姿勢で踊っていたこと。
ことちゃんは確かに背はあまり高くはないけれど素晴らしい身体能力とダンス技術があるので決して小さく見えることはないのです。
だからもし娘役さんが過剰な膝折れなんかして踊ったとしたら絶対逆効果。それはかえって男役の低さを強調することになってしまうと恐れていたんだよね。
ことなこコンビのお互いに一歩も引かない高速スパニッシュ。
その切れ味とダイナミズムはお互いを信じて伸びやかに踊ることで生まれると思う。
本当に素晴らしいデュエットダンスでした!